AEDと心肺蘇生

AEDとは

AED(自動体外式除細動器)って何?

AEDとは、突然心臓が正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行い、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。
突然心停止の最も一般的な原因である心室細動(VF)・心室頻拍(VT) の際に使用されます。
突然心停止は事前の徴候や症状なく突然発生するケースも多く、いつどこで発生するか分からない恐ろしい症状です。
心筋の不規則な震えである心室細動・心室頻拍がおこると心臓から全身に血液を送ることができなくなり、回復しなければ死に至ります。
心室細動・心室頻拍によって脳や臓器に血液が届かなくなる時間が長いほど、死亡と後遺症のリスクが高くなります。
したがって、突然心停止の発症後、直ちに心肺蘇生と除細動電気ショックを実施することが非常に重要です。

なぜAEDが必要なの?

日本では、救急車の到着まで平均約8.6分(※)です。
除細動までの時間が1分経過するごとに、生存率は約7~10%低下します。心臓が血液を送らなくなると、3~4分以上で脳の回復が困難になると言われています。
救急車の到着を待っているだけではなく、傷病者の近くにいる私たち一般市民が一刻も早くAEDを使用して電気ショックをできるだけ早く行うことが重要になります。
※総務省消防庁 統計資料(H27年版)より引用

AEDがもっと普及すれば、多くの命が助かります。

 心原性心停止症例と他死亡例の比較

心原性心肺機能停止件数 76,141件
AEDの普及が進めば、心肺停止からの死亡率低下を図れます。


※総務省消防庁統計資料(H27年版)より引用
※警察庁 交通事故の発生状況(H27年版)より引用
※消防白書(H27年版)より引用

電気ショックまでの時間と生存退院率 

1分でも早いAEDの使用が、生存退院率の増加につながります。
 
※AHA 心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000より引用
※救急蘇生法の指針2010(市民用)より引用
※総務省消防庁 統計資料(H27年)より引用 

心停止の原因と「心室細動(VF)」「心室頻拍(VT)」

 急性心筋梗塞は、心臓突然死の主な原因といわれています。心臓を取り囲む冠動脈と呼ばれる血管が、何らかの原因によってつまってしまう病気です。冠動脈の一部がふさがると血液が流れなくなってしまい、これに伴い心室細動など致死性不整脈が発生して心停止を引き起こす可能性があります。

肥大型心筋症や拡張型心筋症なども、ポンプとしての機能低下から、時に心室細動を起こす可能性があります。また、特徴のある心電図をもつブルガダ症候群などにおいては、突発的に心室細動を起こす可能性が高いといわれています。

心室細動 

心室細動とは、心臓の筋肉がけいれんをしたような状態になり、全身に血液を送るポンプ機能を失った状態になる致死性不整脈の一つです。心室細動の唯一の治療方法が、除細動器(AEDを含む)で電気ショックを与えることだといわれています。 

心室頻拍 

心室細動同様に致死性の不整脈の一種です。心室の筋肉が非常に早いリズムで心臓を収縮させます。一分間に100回以上の拍動を3連続以上繰り返す場合を心室頻拍と呼びます。この発作がおこると、心臓はポンプとしての機能を十分に果たせなくなり、より重症な症状を引き起こします。 

AEDを使った心肺蘇生

AEDがつなげる「救命の連鎖」

 心停止や窒息という生命の危機的状況に陥らないように未然に防ぐことが重要です。

心停止の可能性のある傷病者を発見したら、できる限り早く119番通報と応援を求め、できる限り早く胸骨圧迫(できる場合は、人工呼吸も含む)心肺蘇生を行い、できる限り早くAEDを用いて電気ショックを行い、できる限り早く医療機関で処置を行い、社会復帰に導くためには、これらの「救命の連鎖」が重要です。

救助の手順

①倒れている人がいたら意識を確認
肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか?」と大声で呼びかけても意識がなければ応援を呼び、119番とAEDの手配をお願いします

②呼吸を確認(心停止を判断)
胸と腹部の動きを素早く(10秒以内で)見ます。
普段どおりの呼吸でなければ“呼吸なし”と判断します。
※しゃくり上げるような不規則な呼吸が見られる場合も“呼吸なし”と同じ扱いにしてください。これは“死戦期呼吸”と呼ばれ、心停止のサインのひとつです。

呼吸があれば
呼吸があれば、図の姿勢で横に寝かせ、救急隊を待ちます。

③胸骨圧迫で血液を全身に送る
ひじを伸ばし、垂直に体重をかけ、成人は深さ約5cm、小児は胸の厚さの約1/3胸が沈みこむように、1分間に100~120回のテンポで強く速く胸を押します。(AEDが到着するまで)。
胸を完全に元の位置に戻すために、圧迫と圧迫の間に胸壁に力がかからないようにします。
人工呼吸の技術と意思がある場合のみ、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回のサイクルの繰り返しを行います。
人工呼吸の技術と意思がない場合には、胸骨圧迫のみを行います。

手の位置
左図を参考に胸の中央部に置きます。

押し方
手の付け根で、深さ約5cm沈み込むように押します。

④到着したAEDをすみやかに装着
患者が回復した場合でも、救急隊が来るまでは本体の電源を切らずに除細動パッドをつけたままにし、音声ガイドに従ってください。
救急隊員が到着したら、救急隊員の指示に従ってください。 


AEDによる心電図解析と電気ショックを行う際は、傷病者に触れないようにしてください。

AED(HDF-3500)の使い方

①電源を入れる
まず、電源ボタンを押して電源を入れます。
すると、スピーカーから音声ガイドが流れます。
これ以降は、音声とパネルのLED表示に従って操作してください。

②除細動パッドを貼る
緑のつまみを引いてパッドの袋を引き出し、袋からパッドを取り出します。青い矢印を引き、パッドから裏のシートをはがして、除細動パッドをパッドのイラストのとおり右胸と左わき腹に貼ります。 電気ショックが必要かどうかは、AEDが判断します。音声ガイドに従って、胸骨圧迫も続けてください。

③「ショックボタン」を押す
電気ショックが必要ないと判断された場合、ショックボタンを押しても放電されません。

電気ショックが必要と判断された場合は、 「電気ショックが必要です。体から離れてください」 「オレンジ色のショックボタンを押してください」 と音声ガイドが流れますので、それに従って「ショックボタン」を押してください。その後も、音声ガイドに従って胸骨圧迫を続けてください。 救急隊が到着するまで電源は切らず、除細動パッドは付けたままにします。

 AED使用時は、心電図の解析を正しく行う為に、下記に注意してください。

①除細動パッドは、全面が貼り付くように貼ってください。胸毛が多い場合は、剃ってください。
②傷病者に接している電気毛布・電動ベッド・マッサージ器など、家電製品のコンセントを抜いてください。
③AEDの音声ガイドに従って使用し、心電図の解析中は傷病者にさわらないでください。
④除細動パッドは再使用禁止で使い捨て品です。
⑤未就学児専用除細動パッドがない場合、成人用除細動パッドを使用してもかまわないということがガイドラインで示されていますので、緊急時には成人用除細動パッドでも躊躇せずに使用してください。
⑥成人用パッドをこれら小児に使用する場合には、特に、2枚のパッドが触れ合うことがないよう、注意してください。

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